甲状腺刺激ホルモン

内分泌学

甲状腺刺激ホルモン TSH thyroid-stimulating hormone

甲状腺刺激ホルモン(TSH:thyroid-stimulating hormone)は甲状腺の機能の発達・維持に関与する下垂体前葉ホルモンである。

構造

TSH((甲状腺刺激ホルモン))はαおよびβからなる分子量25000~28000の糖タンパク質ホルモン((糖たんぱく質ホルモンは少なく甲状腺刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アクチビン、インヒビンのみ))である。αサブユニットはアミノ酸92個からなり性腺刺激ホルモン(黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン)およびヒト絨毛性ゴナドトロピンと同一の構造である。また112個のアミノ酸からなるβサブユニットは生理活性発現に重要である。

生理作用

  • 甲状腺ホルモンの合成・分泌を促進
  • 甲状腺細胞の合成・分化を刺激

TSH((甲状腺刺激ホルモン))受容体はGタンパク質結合型で、甲状腺の濾胞上皮細胞に発現している。

Gs共役型:粗面小胞体でのチログロブリン(TG)の生合成促進、濾胞上皮細胞での甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)の合成促進、甲状腺細胞の分裂等促進

Gq共役型:ヨウ素の取り込みを行うNa-I共輸送体の促進、過酸化水素水(H2O2)((無機ヨウ素の有機化に必要(ヨウ素化は酸化反応であるため))産生促進

分泌調節

  • TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)によって促進:視床下部から放出されたTRHは下垂体前葉の甲状腺刺激ホルモン分泌細胞に作用し合成・分泌を促進
  • 甲状腺ホルモン(T、T)による負のフィードバック:甲状腺から放出された甲状腺ホルモンは下垂体前葉に作用しTSHを抑制。また視床下部にも作用しTRHも抑制する。
  • ソマトスタチンによる抑制:視床下部室傍核、ランゲルハンス島D細胞で合成・放出されたソマトスタチンによってTSHは減少する。

 

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