Gタンパク質共役型受容体とは?
Gタンパク質共役型受容体とは三量体Gタンパク質と共役して細胞内にシグナルを伝達する受容体のことである。詳しくはこの記事で説明しているので復習してみてほしい。
Gタンパク質共役型受容体(GCPR)
Gタンパク質共役型受容体とは上の図のような構造を持つもち脂質二重膜を7回貫通している。この受容体は水溶性リガンドのシグナルを受け取り伝達する。水溶性リガンドは脂質二重膜を通過できないため、GCPRなどの受容体を介して細胞内に情報伝達を行う。リガンドの代表例として、アドレナリンやグルカゴンなどが挙げられる。
また、リガンドが受容体に結合し効果器を活性化するまでの流れについても上の記事で説明している。
Gタンパク質の種類
Gタンパク質の構造はα、β、γの3つのサブユニットからなる三量体タンパク質である。αサブユニットは約20種類、βサブユニットは約6種類、γサブユニットには約12種類の遺伝子が存在する。
受容体にリガンドが結合するとGタンパク質はGTP結合αサブユニットとβγサブユニットに解離する。βγの組み合わせは単純計算で約72通りの組み合わせがあるが、それらの機能に相違はないと考えられており、実質的には一種類と理解しても問題はない。
したがって、Gタンパク質の違いはαサブユニットの相違によるものであると考えられる。
Gタンパク質の分類
Gタンパク質はαサブユニットに基づいて分類されており、Gs、Gi/o、Gq、G12/G13、Gt(トランスデューシン)などのサブファミリーがある。
これらのサブファミリーは作用する効果器が異なる。
- アデニル酸シクラーゼ(AC)に作用するもの
Gs:アデニル酸シクラーゼを促進(stimulatory)↑
Gi/o:アデニル酸シクラーゼを抑制(inhibitory)↓
(神経細胞には大量のGoが存在するがGiファミリーの一員として分類される) - ホスホリパーゼCβを活性化するもの
Gq(qの由来については不明) - 低分子量Gタンパク質Rhoを活性化するもの
G12/G13 - cGMPホスホジエステラーゼを促進するもの
Gt(トランスデューシン)
またGi/oはαサブユニットによるアデニル酸シクラーゼ阻害のほか、βγサブユニットを介したホスホリパーゼCβの活性、K⁺チャネルの促進、Ca2+チャネルの抑制にも関与する。
各Gタンパク質に共役する受容体
以下からは各Gタンパク質に共役する受容体についてまとめた。
量が多いので重要なものは黄色マーカーを引いた。
- Gsに共役する受容体
- アドレナリン(β1~3)
- ドパミン(D1,5)
- ヒスタミン(H2)
- バソプレシン(V2)
- プロスタグランジン(DP、EP2,4、FP、IP)
- アデノシン(A2(A,B))
- カルシトニン
- セロトニン(5-HT4,6,7)
- 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン
- メラノコルチン
- カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)
- 血管作動性腸管ペプチド(VIP)
- アドレノメデュリン
- アミリン
- 下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACPA)
- Gi/oに共役する受容体
- オピオイド
- アドレナリン(α2(A~C))
- ソマトスタチン
- ムスカリン(M2,4)
- ドパミン(D2~4)
- セロトニン(5-HT1(A,B,D~F),5A)
- ヒスタミン(H3,4)
- GABAB(1,2)
- グルタミン酸(mglu2~4,6~8)
- アデノシン(A1,3)
- プリン(P2Y12)
- アンギオテンシン(AT2)
- ニューロペプチドγ
- ニューロテンシン
- トロンビン(PAR1,3,4)
- ガラニン
- メラトニン
- PAF
- ケモカイン
- 走化性因子(fMLP、C3a、C5a)
- リゾホスファチジン酸
- プロスタグランジン
- カンナビノール(CB1,2)
- スフィンゴシン 1-リン酸
- Gqに共役する受容体
- アドレナリン(α1(A,B,D))
- ムスカリン(M1,3,5)
- ヒスタミン(H1)
- セロトニン(5-HT2(A~C))
- ブラジキニン(B1,2)
- アンジオテンシン(AT1)
- エンドセリン
- グルタミン酸(mglu1,5)
- プリン(P2Y1,2,4,6,11)
- ボンベシン
- コレシストキニン
- ガストリン
- ニューロテンシン
- バソプレシン(V1(a,b))
- オキシトシン(OT)
- タキキニン
- 副甲状腺ホルモン
- 性腺刺激ホルモン放出ホルモン
- 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
- トロンビン
- プロスタグランジン(EP1、FP)
- トロンボキサンA2(TXA2)
- PAF
- ロイコトリエン
- スフィンゴシン 1-リン酸
- Ca2+感知受容体
- G12/13に共役する受容体
- エンドセリン(ETA)
- ブラジキニン(B2)
- バソプレシン
- トロンビン
- トロンボキサンA2(TXA2)
- スフィンゴシン 1-リン酸
- Gtと共役する受容体
- ロドプシン