Gタンパク質共役型受容体とは
Gタンパク質共役型受容体とは細胞膜表面に存在し、三量体Gタンパク質と共役して細胞内にシグナルを伝達する受容体のことである。詳しくはこの記事で説明しているので復習してみてほしい。
またGタンパク質共役型受容体の分類については以下の記事で説明している。
Gs、Giについて
効果器であるアデニル酸シクラーゼ(AC)の活性を促進(stimulatory)するものをGs、抑制(inhibitory)するものをGiという。
GiはGi/oと表記されることがある。Goは神経細胞に多く存在しGiファミリーの一員として分類される。
Gsタンパク質共役型受容体にリガンドが結合すると、GDP-GTP交換反応が起こりGsタンパク質は活性化する。活性化したGsタンパク質は効果器であるアデニル酸シクラーゼ(adenylate cyclase:AC)を活性化させる。アデニル酸シクラーゼはATPをcAMP(3′,5′-環状AMPまたはサイクリックAMPとも呼ぶ) とピロリン酸へ変換する反応を触媒する酵素である。
cAMP濃度が上昇するとプロテインキナーゼA(PKA)が活性化される。プロテインキナーゼA(PKA)はcAMP依存的に活性化されるセリン/スレオニンリン酸化酵素である。
活性化されたPKAは標的タンパク質をリン酸化する子によって生理作用を示す。標的タンパク質は組織によって異なり、示す生理作用も異なる。
Giタンパク質共役型受容体にリガンドが結合すると、GDP-GTP交換反応が起こりGiタンパク質は活性化する。活性化したGsタンパク質は効果器であるアデニル酸シクラーゼ(adenylate cyclase:AC)を抑制する。したがってcAMP濃度、PKAの活性化は促進されない。
すなわちGiタンパク質共役型受容体はアデニル酸シクラーゼに対してGsタンパク質共役型受容体とは逆の作用を示す。
増加したcAMPはPDE3(Phosphodiesterase 3)によって5’AMPへと分解される。
【Gs・Giタンパク質共役型受容体】各組織での生理作用
平滑筋
Gsタンパク質共役型受容体⇒平滑筋弛緩
Giタンパク質共役型受容体⇒平滑筋収縮(この覚え方より平滑筋弛緩の抑制と考えるほうが良い)
ミオシン軽鎖がミオシン軽鎖キナーゼによってリン酸化されると平滑筋は収縮する。
Gsタンパク質共役型受容体刺激によって活性化したプロテインキナーゼAはミオシン軽鎖キナーゼを阻害する。したがって、Gsタンパク質刺激によって平滑筋は収縮阻害され弛緩する。
また、活性化されたプロテインキナーゼA(PKA)は細胞膜表面に存在するK⁺チャネルにも作用する。プロテインキナーゼAはK⁺チャネルを開口する。細胞内では細胞外よりK⁺イオン濃度は高いため、細胞内から細胞外へと流出する。陽イオンが流出すると細胞内の電位は下がる。(過分極)過分極の状態になると電位依存性カルシウムチャネルは閉じ、細胞内にカルシウムが入ってこなくなる。
電位依存性カルシウムチャネルとは脱分極を感知して活性化・開口し、細胞外から細胞内へCa2+を選択的に透過させるイオンチャネルである。
Ca2+は平滑筋の収縮に関与しており、電位依存性カルシウムチャネルの阻害は平滑筋収縮の阻害に繋がる。